衛生監視員はじめました

食品衛生の話と、衛生監視の公務員試験のことについて書きます。

スーパーのポテトサラダでO157 女児重体

平成29年8月21日、埼玉県のスーパーで製造販売されていたポテトサラダを原因とする食中毒が発生したと発表がありました。(参考:ポテトサラダ どこでO157の菌が混入か? | NHKニュース
原因菌は、腸管出血性大腸菌O157で、現在、5歳の女児が腎臓の機能が低下する溶血性尿毒症症候群(HUS:hemolytic-uremic syndrome)を発症し、意識不明の重体となっています。また、4歳の男児と60歳の女性も重症となり入院しています。
原因食品のポテトサラダは、取引先から仕入れたポテトサラダにハムまたはリンゴを混ぜたものでした。ポテトサラダは、客がトングですくい、グラム売りをするものだったそうです。

          f:id:e5253:20170822205100p:plain

 

今回は、原因菌である腸管出血性大腸菌O157について、詳しく解説しようと思います。

 

 

腸管出血性大腸菌とは?

腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)は、下痢原性大腸菌(病原大腸菌)の1つです。病原性や感染力が他の下痢原性大腸菌より強いことから、感染症法で三類感染症として位置づけられています。

腸管出血性大腸菌は、アフリカミドリザルの腎臓由来細胞であるVero細胞に対して細胞毒性を示すベロ毒素(Verotoxin;VT)と呼ばれる蛋白毒素を産生します。また、ベロ毒素は病原性そのものにも密接に関与しています。
Vero毒素の1つである、VT1は、志賀赤痢菌が産生する志賀毒素(Shiga toxin)と同一であるため、ベロ毒素は、志賀毒素様毒素(SLTあるいはStx)と呼ばれることもあります。


腸管出血性大腸菌の主な原因食品・感染源

食中毒や感染症の事例で最も多く報告されているのは、牛肉や内臓肉、そしてその加工品です。
腸管出血性大腸菌は、牛の1.4%に保菌されていることが知られています。

     f:id:e5253:20170822205527p:plain

平成23年4月には、飲食チェーン店で生の牛肉を原因とする腸管出血性大腸菌食中毒が発生しました。
これを受け、食品衛生法の強化が図られ、生食用食肉に規格基準が設定され平成23年10月1日施行)、牛の肝臓の生食用としての販売が禁止されました平成24年7月1日)。

他にも、①食肉等から二次汚染した食品、②水系感染(飲用水、子ども用プールなど)、③観光牧場での動物の接触などを原因とする感染も報告されています。

平成28年には、8月に、老人福祉施設できゅうりのゆかり和えを原因として、11月に冷凍メンチカツを原因として腸管出血性大腸菌O157食中毒が起きました。

           f:id:e5253:20170822205939p:plain


腸管出血性大腸菌の症状

腸管出血性大腸菌に感染後、1~14日(多くは3~5日)後に発症します。
典型的な症状は、大量の新鮮血を伴う血性下痢と、虫垂炎を疑うような激しい腹痛です。

腸管出血性大腸菌による下痢症や出血性大腸炎の発症後、溶結性尿毒症症候群(Hemolytic uremic syndrome;HUS)を発症することがあります。

         f:id:e5253:20170822205816p:plain

溶結性尿毒症症候群(HUS)とは?

溶結性尿毒症症候群は、溶血性貧血、血小板減少、急性腎臓機能障害を主徴とする病気です。
HUSを続発した例は、5歳以下の小児に多くみられます。腸管出血性大腸菌O157に続発するHUSでは、重症であることが多く、2週間~数か月の入院加療を必要とする症例もあります(全症例の16~80%)
また、HUSを続発した患者のうち、特に尿の出なくなる無尿症や、けいれんなどの神経症状を呈した患者では、重篤に経過することも多く、死に至ることもあります

 


予防方法

  • 腸管出血性大腸菌は、75℃1分以上の加熱で死滅します。ハンバーグやメンチカツなどのひき肉料理では、中まで火を通して食べてください。
  • 子どもや高齢者では抵抗力が弱いため、生食用の肉でも生のまま食べないようにしてください。
  • 肉を焼くときは専用の箸やトングを使いましょう。
  • トイレの後や食事の前、動物と触れ合った後は、流水と石けんでよく手を洗いましょう。

 

腸管出血性大腸菌には、消毒用エタノールをはじめ、次亜塩素酸ナトリウムポビドンヨード、逆性石けん液(ベンザルコニウム塩化物液)など、市販されているほとんどの消毒剤が有効です。

【第3類医薬品】消毒用エタノールIP「ケンエー」 500mL

【第3類医薬品】消毒用エタノールIP「ケンエー」 500mL

 

 

 ピューラックスSは、食品にも使える殺菌剤です。通信販売でしか購入できないそうです。ノロウイルスにも有効な次亜塩素酸ナトリウムです。

殺菌剤ピューラックスS600ml

殺菌剤ピューラックスS600ml