衛生監視員はじめました

食品衛生の話と、衛生監視の公務員試験のことについて書きます。

今注目したい! カンピロバクター食中毒

カンピロバクター食中毒は、日本国内で発生する細菌性食中毒のうち、事件数、患者数ともに第1位の食中毒です。
近年、事件数は年間300件、患者数は2000人程度で推移しています。


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平成28年には、屋外での食品イベントで、加熱不十分な鶏肉が提供され、500名を超える患者が発生した事件がありました。


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原因食品となった加熱不十分な鶏肉は、ハーブのみ食べて育ったチキンを、お寿司にしたもので、ホームページには、「新鮮だからこそ可能なお寿司」との記載がありました。

 

 

 

カンピロバクターとは?

カンピロバクターは、古くからウシやヒツジなどの家畜の流産、胃腸炎、肝炎等の原因菌として注目されていた細菌です。
1970年代に入りヒトにも腸炎を起こすことが判明しました。
特に、1978年に米国で飲料水を原因として約2000人が感染した食中毒により、世界的に注目されるようになりました。

日本では1982年に食品衛生法で厚生省に報告する食中毒事件票の「病因物質の種別」の中に加えられ、食中毒起因菌として指定されました。

カンピロバクター食中毒の原因菌は、ほとんどがカンピロバクター・ジェジュニです。カンピロバクター・コリであることもあります。
ジェジュニは空腸、コリは大腸という意味があり、ジェジュニは鶏につく菌、コリは牛につく菌と覚えると微生物学の勉強に使えます。

 

カンピロバクター食中毒の症状

カンピロバクター食中毒の潜伏期間は、2~5日(平均2~3日)で、主な症状は下痢、発熱(平均38.3℃)、吐き気、倦怠感、腹痛、頭痛です。
カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギランバレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。

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カンピロバクター食中毒の原因食品

原因食品の多くは、鶏の肉やレバーの刺身、たたき、鶏わさなど、生の状態や加熱不足の鶏肉です。
調理器具の使い分けをしないなどの取り扱い不備による二次汚染が原因となることもあります。

鶏肉の生食をする方法についての記事もありますので、宜しければお読みください。

 

鶏肉のカンピロバクター汚染率

 市販の鶏肉の鶏レバー56検体中37検体(66.1%)、砂肝9検体中6検体(66.7%)、鶏肉9検体中9検体(100%)からカンピロバクターが検出されています。
(参考:厚生労働科学研究食品安全確保研究事業「食品製造の高度衛生管理に関する研究」)

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鶏の内臓は6割以上が、鶏肉は全てが汚染されていることが分かります。

鶏肉は、サルモネラ属菌など、他の食中毒菌にも汚染されています。
現在の食鳥処理の技術ではこれらの食中毒菌を完全に除去することは困難です。
鶏の肉や内臓は、カンピロバクターに汚染されていると考えて扱うことが大切です。

 

予防方法

  • 食肉は中までしっかり加熱調理する。(中心部を75℃以上で1分間以上加熱)
  • 食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて処理や保存を行う。
  • 食肉を取り扱った後は、よく手を洗う。
  • 食肉に触れた調理器具などは、使用後、洗浄・消毒を行う。

図解 食品衛生学 第5版 食べ物と健康、食の安全性 (栄養士テキストシリーズ)

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