衛生監視員はじめました

食品衛生の話と、衛生監視の公務員試験のことについて書きます。

行政法の基礎知識

行政法は、公務員の仕事の基本となるものです。
行政法は「民法」や「商法」のように単独の法典が存在しているわけではなく行政に関連する法律の総称をいいます。
行政手続法、行政不服審査法行政事件訴訟法というように行政という名のつく法律はありますが、行政法という名の法律はありません。
言い換えれば、行政法とは、各個別の行政に関する法令に共通する原理・原則ということもできます。

 

行政とは

行政は、次のように定義されています。

  1. 形式的定義
    行政機関が行う一切の作用
  2. 実質的定義
    ・消極説
    国家作用のうち立法作用(憲法第41条)と司法作用(憲法第76条)を除いたもの
    ・積極説
    法のもとに、法の規制を受けながら、現実具体的に国家目的の積極的実現を目指して行われる全体として統一性を持った継続的な形成的国家活動 

 

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行政の分類

行政は、次のように分類されます。

  1. 内容的分類
    ・規制(侵害)行政
    国民の権利・自由を制限することを通じて公の目的を達成する行政活動(課税処分、建築規制、交通規制、営業規制等)
    ・給付行政
    国民の福祉を積極的に増進させるためになされる行政活動(道路・公園等の公の施設の設置、生活保護補助金交付等)
    ・私経済行政
    直接公の目的の達成を図るのではなく、私人と同じ立場で行われる行政活動(官公庁の庁舎の建設、国有財産の管理等) 
  2. 性質的分類
    ・権力行政
    行政権が私人に対して命令・強制するなど優越的な立場で行う行政(行政行為、行政強制等)
    ・非権利力行政
    私人と対等な立場で行う行政(行政指導、行政契約等)

 

行政法の種類

行政法は、次の三種類に分類されます。 

  1. 行政組織法
    国、地方公共団体その他の行政主体にその存立の根拠を与え、これらの行政主体が設置すべき行政機関の名称、任務、所掌事務の範囲、機関相互の関係などについて定めるもの(内閣法、国家行政組織法等)
  2. 行政作用法
    行政組織が実施すべき行政の内容を定め、その権限を与えるもの(警察官職務執行法、都計法、道路法等)
  3. 行政救済法 
    行政活動により不利益を受けた国民の権利を救済するもの(国家賠償法行政訴訟法等)

 

行政法法源

行政法法源には、次のようなものがあります。

  1. 成文法源
    憲法
    憲法は、国家の基本法として、行政の組織、作用及び統制に関する基本的事項を定めています。
    その限りにおいて、憲法は、行政法法源となります。
    ・法律
    国会の議決により制定される法形式で、行政法の最も重要な法源です。
    ・命令
    行政機関によって制定される法形式で、政令内閣府令、省令等があります。
    ・条約
    国家間又は国家と国際機関との間の国際法上の権利義務を定める法形式で、国内行政法法源となることもあります。
    地方公共団体の自主法
    地方公共団体がその自治権に基づいて制定する法形式(条例・規則)で、行政法の重要な法源です。

  2. 不文法源
    ・慣習法
    人々の間で長年にわたって行われている慣習のうち、人々の法的確信を得たものです。
    判例
    裁判所が判決で示した先例のことです。
    ・条理法
    基本的原理としての法の一般原則です。(信義誠実の原則、比例原則等)

 

法律による行政の原理

法律による行政の原理は、行政活動が法律に基づき、法律に従って行われなくてはいけないと定義されます。
地方公共団体の場合は、条例や規則も含まれます。

  1. 法律の優位
    行政活動は法律に違反してはならず、法律違反の行政活動は無効になるということです。
  2. 法律の法規創造力
    法律によってのみ法規(国民の権利義務に関する一般的規律)を創造することができるということです。
    命令(政令内閣府令・省令)は法律の委任がない限り法規としての性質を有することができません(内閣法第11条、内閣府設置法第7条第4項、国家行政組織法第12条第3項)。
    地方公共団体の場合は、条例のほか長の定める規則も法規としての性質を有することができます。
  3. 法律の留保
    行政が具体的な活動をするには、法律の根拠が必要とされるということです。
    ただし、すべての行政活動に法律の根拠が必要とされるわけではありません。

 

法律による行政の原理以外の行政法の原理

  1. 適正手続の原則、公正・透明性の原則
    行政活動は、内容的に正しいだけでなく、手続き的にも適性である必要があります。
  2. 説明責任の原則
    行政の諸活動に関する情報について、適時適切に国民に提供を行い、事態を説明する責任があります。
  3. 能率化の原則
    最少の費用で最大の効果をあげるようにしなければならないというものです。
  4. 信義誠実の原則
    民法第1条第2項の信義誠実の原則は、一般原則として行政法にも適用されます。
  5. 権利濫用の禁止原則
    民法第1条第3項の権利濫用の禁止原則は、行政上の法律関係にも適用されます。
  6. 比例原則
    規制の目的に対して、そのための手段が均衡のとれたものであることを要請することです。警察官職務執行法第1条第2項がこれにあたります。
  7. 平等原則
    行政機関は、合理的な理由なく国民を差別することを禁止されています。

 

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現代行政法入門 第3版

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行政法は難しいですが、学んで損はないと思います。お互い頑張りましょう。