衛生監視員はじめました

食品衛生の話と、衛生監視の公務員試験のことについて書きます。

ポテトサラダO157 どこで汚染が起きたのか?

平成29年8月、埼玉県熊谷市のスーパーにある惣菜店のポテトサラダを食べた客から、腸管出血性大腸菌O157が検出された食中毒について、8月21日、群馬県高崎市の保健所は、同市内のポテトサラダを製造・納入していた食品加工会社に立ち入り調査を行い、8月23日、同社のポテトサラダから腸管出血性大腸菌O157は検出されなかったと発表しました。
検査を行ったのは、8月5日と7日に製造したポテトサラダで、どちらからも腸管出血性大腸菌O157は検出されなかったそうです。また、製造施設において、衛生管理上不適切な点は確認されませんでした。

 

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ポテトサラダの製造工程

ポテトサラダは、群馬県高崎市の食品加工会社で、ジャガイモ、ニンジンを加熱し、カットしたキュウリ、タマネギ、キャベツと混ぜて、1~2キログラムずつ袋詰めされて出荷されます。
これに、各店舗の調理場でカットしたハムやリンゴを加えて提供されていました。
 

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原因施設となったスーパーでの衛生管理

ポテトサラダにハムやリンゴを混ぜて製造販売していたスーパーでは、「調理の始めと終わりに調理器具をアルコール消毒することや、冷蔵ケースの温度も夏場で5℃以下になるよう管理」していました。(参考:O157:高崎のポテトサラダ工場から検出されず - 毎日新聞

ポテトサラダを客が自ら取り分けるためのスプーンやトングは、ポテトサラダの中に落として柄が汚れた場合、随時交換し、そうでなくても2時間ごとに交換していたとのことでした。(参考:O157、前橋で新たに1人感染 系列店のポテサラ食べる 群馬県の食品加工会社からは検出されず(1/2ページ) - 産経ニュース

 

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野菜を原因とする腸管出血性大腸菌O157食中毒 事例1

平成8年(1996年)7月、大阪府堺市の学校で提供された給食を原因とする腸管出血性大腸菌O157食中毒が起きました。
患者数は、7,996名にのぼり、平成9年(1997年)までに女児3名、平成27年(2015年)10月には後遺症で25歳の女性が亡くなりました。

当時の菅直人厚労相が、原因食品を「カイワレ大根」と発表したことで、多くのカイワレ大根農家の破産や自殺などが相次ぎ、社会問題化したことが知られています。

しかし、このカイワレ大根を生産した施設を立ち入り検査したところ、施設の拭き取りや従業員の糞便の細菌検査からは腸管出血性大腸菌O157が検出されず、原因不明となりました。

風評被害を受けたカイワレ大根農家らが起こした、国に損害賠償を求める民事裁判では、平成15年(2003年)5月、最高裁で国の敗訴が確定しています。

 

カイワレの悲劇

カイワレの悲劇

 

 

野菜を原因とする腸管出血性大腸菌O157食中毒 事例2

2014年7月、静岡県静岡市の花火大会の屋台で提供された冷やしキュウリを原因とする野菜を原因とする腸管出血性大腸菌O157が起きました。
患者数は510名、うち、入院者数は114名でした。

冷やしキュウリは、車内で洗浄から皮むきの下処理までを行っていました。その際使用した水は、すべて市販のミネラルウォーターだったそうです。浅漬けの素や付け合わせの味噌、マヨネーズ、塩も市販品でした。

キュウリは温度管理が不適切であり、また、大量調理によって一度に多くが汚染されたと考えられています。しかし、当日使用したとされるポリバケツやその他の器具の拭き取り検査で腸管出血性大腸菌O157が検出されなかったことから、汚染原因は不明となりました。

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腸管出血性大腸菌O157の原因食品を特定するのは難しい

腸管出血性大腸菌O157の原因食品は、どの食材が原因で発生したか特定するのが難しいと言われます。

 

2014年1月以降(7月18日付まで)に全国で発生した食中毒は、343件あるが、このうち原因となる食品がわかっているのは約23%(78件)
(引用:野菜からでも「O157」に感染する? 今回は「冷やしキュウリ」が原因というが… : J-CASTニュース

今回、原因食品の断定に至ったのは、「患者の共通食が、原因施設で提供された食品(ポテトサラダ)に限定される」ためです。しかし、さらに汚染原因の特定を行うのは難しいと考えられます。(参考:食中毒を発生させた施設の行政処分について - 埼玉県

 

ここ3週で腸管出血性大腸菌の感染者が急増している

8月22日、国立感染症研究所(NIID)が公表した集計によると、8月16日までに報告された腸管出血性大腸菌の感染者は、1,696名であり、前年同期比72名増加しています。(参考:腸管出血性大腸菌感染症
ここ3週は、1週間あたり200名以上で推移しています。
8月7日から13日の1週間は、今年最多の228名が報告され、東京都や神奈川県、千葉県など関東地方で多く感染者が確認されています。

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腸管出血性大腸菌予防のポイント

  • 腸管出血性大腸菌は、75℃1分以上の加熱で死滅します。ハンバーグやメンチカツなどのひき肉料理では、中まで火を通して食べてください。
  • 子どもや高齢者では抵抗力が弱いため、生食用の肉でも生のまま食べないようにしてください。
  • 肉を焼くときは専用の箸やトングを使いましょう。
  • トイレの後や食事の前、動物と触れ合った後は、流水と石けんでよく手を洗いましょう。